植物の超効率エネルギー伝達の謎を解明!未来の太陽電池に応用も

植物の超効率エネルギー伝達の謎を解明!未来の太陽電池に応用も

植物が持つ驚異的なエネルギー効率の秘密が、量子の世界から解き明かされようとしています。生命の最も基本的なプロセスの一つである光合成に、これまで考えられてきた以上の、精巧なメカニズムが隠されているかもしれません。タイ、カセサート大学のS. ブーンチュイ博士(Dr. S. Boonchui)が率いるチームによる画期的な学際的研究が、2025年2月12日付の『Scientific Reports』(Nature Publishing Group、オープンアクセス)に掲載されました。この研究は、植物が光エネルギーを驚くほどの精度と速さで伝達する、驚くべき量子の仕組みを明らかにしています。このオープンアクセス論文のタイトルは、「Investigation of Quantum Trajectories in Photosynthetic Light Harvesting Through a Quantum Stochastic Approach(量子確率論的アプローチによる光合成光捕集における量子軌跡の研究)」です。 葉に当たった光は、その後どうなるのでしょう? 太陽光が葉に当たると、色素分子が光子を吸収し、そのエネルギーを光合成プロセスを駆動する「反応中心」と呼ばれる中心部へと送らなければなりません。しかし、熱的にノイズが多い混沌とした環境の中で、エネルギーはどのようにしてタンパク質や分子の迷路を確実に通り抜けるのでしょうか? 今回の新しい研究によると、このエネルギーの旅は、決してランダムでも純粋に古典的なものでもありませんでした。むしろ、著者らが「量子コリドー」と表現する、量子効果と周囲の環境との繊細な相互作用によって影響を受ける、狭く最適化された経路をたどるのです。フォノンとして知られる周囲の分子の微細な振動が、まるで「見えない手」のように働き、エネルギーの流れを穏や

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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