ゲノムの「立体構造」が光合成を操る!新技術TAC-Cが作物改良の未来を拓く

ゲノムの「立体構造」が光合成を操る!新技術TAC-Cが作物改良の未来を拓く

生命の設計図である「ゲノム」と聞くと、一本の長い糸のようなものを思い浮かべるかもしれません。しかし、実際のゲノムは、細胞の核の中で複雑に折り畳まれた精巧な「立体構造」をしています。この立体的な形こそが、どの遺伝子をいつ働かせるかを決める重要な鍵を握っているとしたらどうでしょう?特に、植物が太陽の光をエネルギーに変える「光合成」のような生命の根幹をなす現象に、このゲノムの3次元(3D)構造が深く関わっていることが、最新の研究で明らかになってきました。今回は、その謎を解き明かす画期的な新技術をご紹介します。 中国の研究者たちが、植物ゲノムの3次元(3D)構造が、特に光合成における遺伝子発現にどのように影響を与えるかを解明する、画期的な技術を開発しました。この研究は、中国科学院遺伝・発育生物学研究所のシャオ・ジュン教授(Prof. Jun Xiao)がBGIリサーチと共同で主導し、2025年5月30日付の科学誌『Science Advances』に掲載されました。このオープンアクセスの論文は、「TAC-C Uncovers Open Chromatin Interaction in Crops and SPL-Mediated Photosynthesis Regulation(TAC-Cは作物における開いたクロマチン相互作用とSPLを介した光合成調節を明らかにする)」と題されています。この革新的な手法は、遺伝子間の複雑な3D相互作用を理解するためのより正確なツールを提供するだけでなく、遺伝子調節における遠距離クロマチン相互作用の重要な役割を浮き彫りにします。 植物の核内では、クロマチン(DNAとタンパク質の複合体)はランダムに配置されているわけではありません。むしろ、クロマチンは慎重に組織化された3D構造を形成し、生物学的プロセスを調節する上で極めて重要な役割を果た

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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