ハンセン病はコロンブス以前からアメリカに存在した!古代DNAが解き明かす病原体の謎

ハンセン病はコロンブス以前からアメリカに存在した!古代DNAが解き明かす病原体の謎

歴史の教科書に書かれている「常識」が、最新の科学によって覆される瞬間があります。アメリカ大陸のハンセン病は、コロンブス以降のヨーロッパ人入植者が持ち込んだ――長年、そう信じられてきました。しかし、もしその歴史が全くの誤りだったとしたら?古代の遺跡に残されたわずかな痕跡から病原体のDNAを読み解くことで、壮大な歴史の謎に迫った研究が登場しました。科学が明らかにした、忘れられた病原体の驚くべき物語をご紹介します。 長らくヨーロッパの植民者によってアメリカ大陸にもたらされたと考えられてきたハンセン病ですが、実際にはアメリカ大陸ではるかに古い歴史を持つ可能性が浮上しました。パスツール研究所、フランス国立科学研究センター(CNRS)、そしてコロラド大学(米国)の科学者たちは、アメリカとヨーロッパの様々な機関と協力し、最近特定されたハンセン病の原因となる第二の細菌種、Mycobacterium lepromatosis(マイコバクテリウム・レプロマトーシス)が、ヨーロッパ人の到来より数世紀も前の、少なくとも1000年前からアメリカ大陸の人々に感染していたことを明らかにしました。これらの発見は、2025年5月29日付の科学誌『Science』に掲載されました。論文のタイトルは「Uncovering Pre-European Contact Leprosy in the Americas and Its Enduring Persistence(アメリカ大陸におけるヨーロッパ人接触以前のハンセン病の発見とその永続性)」です。 ハンセン病は、主にハンセン菌(Mycobacterium leprae)によって引き起こされる顧みられない病気であり、世界中で何千人もの人々が罹患しています。年間約20万人の新規患者が報告されています。ハンセン菌が依然として主な原因菌である一方、本研究はもう一

Life Science News from Around the Globe

Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

バイオクイックニュースは、サイエンスライターとして30年以上の豊富な経験があるマイケルD. オニールによって発行されている独立系科学ニュースメディアです。世界中のバイオニュース(生命科学・医学研究の動向)をタイムリーにお届けします。バイオクイックニュースは、現在160カ国以上に読者がおり、2010年から6年連続で米国APEX Award for Publication Excellenceを受賞しました。
BioQuick is a trademark of Michael D. O'Neill

LinkedIn:Michael D. O'Neill

 

【サイエンス雑誌シリーズ】Amazonストアにて好評販売中!