宿主遺伝子の発現を阻害するウイルスタンパク質(Nsp1)を標的としたCOVID-19治療アプローチの可能性

2021
3月 31
(水)
10:00
微生物/ウイルス研究のバイオニュース

宿主遺伝子の発現を阻害するウイルスタンパク質(Nsp1)を標的としたCOVID-19治療アプローチの可能性

Nsp1と呼ばれるコロナウイルスタンパク質が遺伝子の活性をどのように抑制し、ウイルス複製を促進するかを特定する研究は、新しいCOVID-19治療への希望をもたらすものだ。 パンデミックが始まって以来、科学者らは、COVID-19の原因となるコロナウイルスであるSARS-CoV-2を理解するために果てしなく取り組んできた。
ワクチンの登場にもかかわらず、ウイルスはまだ蔓延しており、代替療法を開発する必要がある。 テキサス大学医学部サウスウェスタンメディカルスクール(UTSW)の研究者らは、SARS-CoV-2がどのように細胞に感染し、体の自然な免疫系を避けながら増殖するのかを研究することで、これを達成したいと考えている。
サイエンスアドバンシスの2021年2月5日号に発表されたオープンアクセスの論文は「SARS-CoV-2のNsp1タンパク質がmRNAエクスポート機構を破壊して宿主遺伝子の発現を阻害する(Nsp1 Protein of SARS-CoV-2 Disrupts the mRNA Export Machinery to Inhibit Host Gene Expression)」と題されている。

「ウイルスが細胞に感染した場合、宿主細胞が反応する方法は、ウイルス感染に対抗するために特定の方法で細胞経路(またはネットワーク)を変更することだ。 ウイルスはこれらの経路の多くを標的にして、自身の複製を促進することができる」と、UTSWの細胞生物学教授で論文の責任著者であるBeatriz Fontoura博士(写真)は述べている。 ウイルスは、宿主細胞の遺伝子を抑制して自分の遺伝子を優先することで複製する。
これを行う1つの方法は、細胞の核から細胞質と呼ばれる別の区画へのメッセンジャーRNA(mRNA)のエクスポートをブロックすることだ。 これらのmRNAのいくつかは、細胞質内の細胞によってのみ作られるタンパク質をコードしている。 したがって、ウイルスは核からの輸送を阻止することにより、一部のタンパク質(抗ウイルスタンパク質など)の生成を防ぎ、同時に細胞の機構を解放して自身の複製を可能にする。
「我々はインフルエンザウイルスのNS1タンパク質を研究しており、その機能の1つがmRNAの核外輸送をブロックすることであることを示した。 インフルエンザのNS1とコロナウイルスのNsp1は、宿主細胞での抗ウイルス応答の抑制における役割にいくつかの類似点があるため、これら2つのタンパク質が同様の機能を共有するかどうかをテストすることにした。」とFontoura研究室のポスドク研究員で論文の筆頭著者であるKe Zhang博士は述べている。

 

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