結核治療の新たな希望:アフリカニガヨモギ由来化合物

結核治療の新たな希望:アフリカニガヨモギ由来化合物

サイエンス出版部 発行書籍

ペンシルバニア州立大学のジョシュア・ケロッグ博士(Joshua Kellogg, PhD)らの研究チームが、伝統薬草アフリカニガヨモギ(学名:Artemisia afra)の化合物「O-メチルフラボン」が結核の治療に有効である可能性を示しました。この研究結果は、2024年7月2日にオンラインで公開され、10月発行予定の Journal of Ethnopharmacologyで発表され、「An O-Methylflavone from Artemisia afra Kills Non-Replicating Hypoxic Mycobacterium tuberculosis(アフリカニガヨモギ由来のO-メチルフラボンが非増殖性低酸素状態の結核菌を殺す)」というオープンアクセス論文として公開されています。 本研究では、アフリカニガヨモギから分離した化合物が、結核菌の増殖状態と低酸素状態(休眠状態)の両方において効果的に作用することが明らかにされました。特に低酸素状態の結核菌は治療が難しいことで知られており、この発見は新たな治療法の基盤となる可能性があります。 研究の背景:結核治療の課題 結核は世界保健機関(WHO)やアメリカ疾病予防管理センター(CDC)によると、毎年約1,000万人が感染し、約150万人が命を落とす感染症です。現在の治療法では通常6か月間の抗生物質投与が必要ですが、薬剤耐性菌に感染した場合は治療期間が2年にも及ぶことがあります。このため、治療は患者にとって高額かつ負担の大きいものとなっています。 さらに、結核菌は体内で通常の増殖形態と「休眠状態」の2つの形態をとることができます。この休眠状態では菌の細胞活動が大幅に抑えられ、薬剤や免疫の攻撃を回避するため、治療がより困難になります。ジョシュア・ケロッグ博士は、「この休眠状態の菌を攻撃できる新しい

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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