茶樹のゲノム解読完了。お茶の風味とカフェイン生合成の独立進化の解明へ
サイエンス出版部 発行書籍
一般的な茶にも紅茶、緑茶、烏龍茶、白茶、チャイなど様々な種類があるが、いずれもCamellia sinensis、一般的には茶樹と呼ばれる常緑低木の葉を原料としている。茶は文化的にも経済的にも重要でありながら、茶の葉の木についてはあまりよく知られていない。2017年5月1日付Molecular Plant誌オンライン版に掲載された茶樹のゲノム解析初稿を読めば、なぜ茶の葉には抗酸化物質やカフェインが豊富に含まれているのかが想像できるのではないか。 このオープンアクセス論文は、「The Tea Tree Genome Provides Insights into Tea Flavor and Independent Evolution of Caffeine Biosynthesis (茶樹のゲノムが茶の風味とカフェイン生合成の独立進化解明の手がかりに)」と題されている。茶樹が近縁種と遺伝学的にどう違うのかを理解すれば、茶園経営者もCamellia sinensisの葉はなぜユニークなのかということが分かるのではないか。このCamellia属には100を超える種があり、その中には庭木として栽培される種もいくつかあり、さらに、茶油を採るC. oleiferaがあり、茶の原料として商業的に栽培されているのは主として2種 (C. sinensis. var. assamicaおよびC. sinensis var. sinensis) があるだけである。中国Kunming Institute of Botany (中国科学院昆明植物研究所) の植物遺伝学者、Li-Zhi Gao (高立志), PhDは、「茶には様々な風味があるが、茶の風味を決めているのはどの遺伝子かと言うことは謎だ」と述べている。 これまでの研究で、茶の風味はフラボノイドと呼ばれる抗酸化物質のグループによるも
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