ウミグモのゲノムが解き明かす、クモやサソリなど8本脚の生物の進化の謎
脚が8本ある生き物といえば、何を思い浮かべますか?クモやサソリ、あるいはカブトガニかもしれません。多種多様な彼らの進化の歴史には、まだ多くの謎が残されています。そのミステリーを解き明かす鍵が、深海に住む「ウミグモ」という、世にも奇妙な生物にあるかもしれません。一見すると、脚だらけで体が見当たらない不思議な姿。しかし、最新の研究によって、このウミグモがクモやサソリたちの進化の道のりを解き明かす「羅針盤」のような役割を果たすことがわかってきました。その驚くべき生態と、ゲノムに隠された秘密に迫ります。 ウミグモを見て、それが8本脚を持つほぼ全ての生物の進化を解明するのに役立つほど、その仲間を代表する動物だと見抜くのは簡単ではありません。しかし、ある新しい研究が、この細長く、際立って奇妙な海底生物にその可能性を見出しました。脚の数を数え終わると、現在知られている約1,300種のウミグモと、正真正銘のクモやサソリ、ダニ、カブトガニといった近縁種との間に、似ている点はほとんど見つからなくなります。 ウミグモは皮膚を通して呼吸し、一種の蠕動運動(食べ物を喉に送り込むのと似た筋肉の収縮)を使って体中に酸素を運びます。繁殖の時期になると、オスは受精卵を自分の体に塗り固め、孵化するまで運び続けます。そもそも体と呼べる部分はほとんどなく、ウミグモはまるで配管の設計図のようです。腹部がないため、彼らはほとんど管だけでできています。その腹部は、サソリの毒針を備え、満腹のダニが血液を蓄え、タランチュラに毛むくじゃらの大きな塊を与えている、あの体の後ろの部分です。 「彼らは奇妙です」と語るのは、そういった種類の生物を専門とする研究者、プラシャント・シャルマ博士(Prashant Sharma, PhD)です。彼のウィスコンシン大学マディソン校の研究室には、東地中海の限られた洞窟にしか生息しない
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Edited by Michael D. O'Neill

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