「ただの機械」ではなかったリボソーム。その多様性が生命の鍵を握る
私たちの体を作る設計図はDNAですが、その情報を元に、生命活動を実際に担うタンパク質を組み立てる「工場」があることをご存知でしょうか? それが、細胞内に無数に存在する「リボソーム」です。かつては、ただ黙々と指示通りに働き続ける単純な作業機械だと考えられていました。しかし、もしこの小さな工場が、それぞれに個性と専門性を持ち、がんや神経難病といった病の発症に深く関わっているとしたら…? スタンフォード大学医学部の研究チームが開発した画期的なツールが、この小さな工場の驚くべき秘密を暴き、新たな治療法への扉を開こうとしています。 新しいツールが、細胞のタンパク質工場であるリボソームが、がんや神経変性疾患などの治療法を切り開く可能性のある方法で、いかにして専門化しているかを明らかにしています。スタンフォード大学医学部のマリア・バルナ博士(Maria Barna, PhD)と彼女のチームが、その深淵に迫っています。 私たちが生命の設計図について考えるとき、私たちは体のあらゆる細胞に保存されている遺伝コード、すなわちDNAに注目しがちです。しかし、DNAは物語の一部に過ぎません。その指示が意味を持つためには、それらが読み取られ、生命活動を実際に担う分子であるタンパク質に変換されなければなりません。そこで登場するのがリボソームです。私たちの体にある平均的な細胞には数百万個のリボソームが含まれており、それらは生命にとって絶対不可欠な存在です。リボソームは、遺伝コードを読み取って、代謝を動かす酵素から感染と戦うのを助ける抗体まで、あらゆるタンパク質を生産する分子機械なのです。 スタンフォード大学医学部の遺伝学准教授であるマリア・バルナ博士(Maria Barna, PhD)は、リボソームがどのように機能し、どのように専門化して異なるタンパク質を生産するのか、そしていつどこで
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Edited by Michael D. O'Neill

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