スクリプスの研究者らが脳内の新しいタイプの細胞コミュニケーションを発見 - エクソソームを介したタンパク質輸送が鍵
サイエンス出版部 発行書籍
カリフォルニア州ラホーヤにあるスクリプス研究所の科学者らは、健康な脳内で常に輸送されている数百種類のタンパク質を小さな膜で囲まれた袋『エクソソーム』内で発見し、脳細胞間の新しいコミュニケーション形態を明らかにした。この研究成果は、2022年1月25日発行のCell Reports誌のオンライン版に掲載され、アルツハイマー病や自閉症を含む神経疾患の理解を深めるのに役立つと期待されている。この論文は「プロテオーム解析により、視覚系における神経細胞間の多様なタンパク質輸送が明らかになった。(Proteomic Screen Reveals Diverse Protein Transport Between Connected Neurons In The Visual System.)」と題されている。 スクリプス研究所のハーン神経科学教授であるホリス・クライン博士は、「これは、脳の細胞が互いにコミュニケーションをとる全く新しい方法であり、これまで健康や病気について考える際に組み込まれてこなかったものだ。」「それは、多くのエキサイティングな研究の道を開くものだ。」と述べている。 脳全体に信号を送るために、神経細胞は、通常、神経伝達物質と呼ばれる化学物質を用いてコミュニケーションをとるが、この物質は、ある細胞から隣の細胞へと移動する。また、ホルモンも脳内を循環し、脳細胞の成長に影響を与え、神経細胞間の新しい結合を形成するのに役立っている。これまで研究者らは、脳内では少数のタンパク質が孤立した状態でより独立した動きをするのではないかと考えていた。例えば、アルツハイマー病の研究者は、神経変性に関連する2つのタンパク質であるシヌクレインとタウが、アルツハイマー病に罹患した動物の脳内で細胞間を移動する可能性があることを発見している。しかし、これがアルツハイマー病と関係があるのかどうかは
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