胚性エピゲノムの総合解析
サイエンス出版部 発行書籍
NIHのEpigenome Roadmap Projectに参加していた大規模な研究機関合同研究チームが、2013年5月9日付「Cell」オンライン版で、ヒトの胚の発達初期に遺伝子がオン・オフされる仕組みを発表した。Ludwig Institute for Cancer Research のDr. Bing Ren、The Salk Institute for Biological Studies のDr. Joseph Ecker、Morgridge Institute for ResearchのDr. James Thomsonらが指導するこの研究チームは、これまで知られていなかった遺伝子の現象が胚の発生だけでなく、がんの発生にも重要なカギを握っていると述べている。 4年以上の歳月をかけて行われた実験と分析のデータは公開されており、事実上すべてのバイオメディカルの分野で大きく貢献することが予想される。ヒトの卵子は、受精すると卵割を繰り返し、免疫細胞からニューロンにいたるまで人体のすべての細胞を創り出す。その胚発生の過程で、各世代の細胞は全遺伝子のうち特定の遺伝子のみを発現し、他の遺伝子の発現を抑制することで前世代の細胞とは異なる機能を発揮する。 Ludwig Instituteのメンバーで、UC San Diego SchoolのDepartment of Cellular and Molecular Medicine教授を務めるDr. Renは、「スケールの大きな遺伝子技術を用い、胚細胞とそれに続く世代の細胞が体のどの部分を形成していくかを決め、その部分に落ち着いていく過程で、ゲノム全体の各遺伝子がどのようにオン・オフされるかを調べた」と述べている。細胞が遺伝子を制御する一つの方法がDNAのメチル化で、DNAを形成する4つの塩基の1つ、シトシンにメチル基と呼
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