遺伝的に同じマウスの個体差、エピジェネティクスは主因ではなかった?

遺伝的に同じマウスの個体差、エピジェネティクスは主因ではなかった?

遺伝子情報は全く同じはずなのに、なぜか一方は茶色でスリム、もう一方は黄色で肥満。そんな不思議なマウスが存在します。この違いを生むカギとして、長年「エピジェネティクス」という仕組みが注目されてきました。しかし、この常識を覆すかもしれない、驚きの研究結果が発表されました。20年以上にわたる謎に、ついに終止符が打たれるのでしょうか? 遺伝的に同一な「アグーチ生存黄」マウスの中には、茶色で痩せている個体もいれば、黄色で肥満の個体もいます。これらの違いは、エピジェネティクスによるものです。エピジェネティクスとは、発生の過程でDNAにメチル基などの分子タグが付加され、異なる細胞種での遺伝子発現を決定するシステムです。2003年のある研究では、メス​​マウスの妊娠前および妊娠中の食事に「メチル供与体」となる栄養素を補給するだけで、生まれてくるAvyマウスの多くが痩せた茶色の体になると示されました。Avy遺伝子は「メタステーブルエピエール」として知られています。これは、そのDNAメチル化のレベルが初期胚発生の段階でランダムに決まるためです。2003年の研究は、メタステーブルエピエールがマウスには一般的に存在する可能性があり、近交系マウスの間で見られる説明のつかない多くのばらつき(例えば、高脂肪食を与えた際の体重増加の違いなど)を説明できるかもしれないという考えを提起しました。しかし、いくつかの小規模な研究はあったものの、マウスにおけるメタステーブルエピエールの数は20年以上にわたって不明なままでした。 しかし、それもこれまでです。 この度、ベイラー医科大学の小児栄養学教授であり、米国農務省/農業研究サービス(USDA/ARS)小児栄養研究センターおよびダンLダンカン総合がんセンターのメンバーである、責任著者のロバート・A・ウォーターランド博士(Dr. Robert A. Wate

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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