乳がんの診断と治療に大きな進展
サイエンス出版部 発行書籍
英国がん研究所と世界の共同研究機関の発表によれば、がんの遺伝子的特徴を基にして、乳がんの種類を10通りに再分類し、画期的な乳がんの診断と治療につながる可能性が明らかになった。医師が乳がん患者の遺伝子サブタイプに拠って、その余命をより正確に予測し、個々の患者に応じたテーラーメイド治療を行なう事が、出来るようになる日も近い。この研究成果は2012年4月18日付けのネイチャー誌オンライン版に掲載されたが、乳がん研究では世界最大規模の遺伝子研究が成され、何十年にも及ぶ研究が実を結んだものである。 ケンブリッジ研究所の英国がん研究所のチームは、カナダ・バンクーバーのブリティッシュ・コロンビアがん研究機構(BC)及び、世界の複数の機関と共同研究を組み、5年から10年前に乳がんであると確定診断を受けた患者から採取した、2,000検体の腫瘍サンプルのDNAとRNAを解析した。研究チームは余命の長さに応じて、乳がんを少なくとも10種のサブタイプに分類した。この新たな分類によって、乳がん患者は分類に応じた治療を受けることになる。研究チームは、疾患の進展に関与する新たな乳がん遺伝子も幾つか発見している。これらの遺伝子はいずれも、乳がんの新しい治療薬の標的と成り得るのだ。この情報は世界の研究者に、新たな医薬品の探索と開発を後押しするものだ。 この研究によって明らかになった事は、これらの遺伝子と既知の細胞シグナル・パスウエイとの関連で、細胞の成育と分化に関与する。遺伝子の誤動作を起因とし、細胞分化プロセスの重要な過程が傷害されることによって、ガンが発症するメカニズムが特定されるのである。共同著者で、ケンブリッジ研究所英国がん研究所とケンブリッジ大学腫瘍学部の上級研究主幹である、キャロル・カルダス教授は、「この研究によって、臨床医は将来、乳がんのタイプを診断し、適切な医薬品を処方し、現在より
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