ヒトのポリメラーゼ・シータは、RNAをDNAに逆転写し、RNAを介したDNA修復を促進することが初めて証明された

ヒトのポリメラーゼ・シータは、RNAをDNAに逆転写し、RNAを介したDNA修復を促進することが初めて証明された

サイエンス出版部 発行書籍

細胞には、DNAを複製して新たな細胞に送り込む装置がある。また、ポリメラーゼと呼ばれる同じ類の装置は、RNAメッセージを構築する。これは、中央のDNAレポジトリにあるレシピからコピーされたメモのようなもので、より効率的にタンパク質に読み込まれるようになっている。しかし、ポリメラーゼは、DNAからDNAまたはRNAへの一方向にしか働かないと考えられていた。そのため、RNAメッセージがゲノムDNAのレシピブックに書き戻されるのを妨げていた。今回、トーマス・ジェファーソン大学の研究者らは、RNAセグメントをDNAに書き戻すことができることを初めて証明した。これは、生物学の中心的なドグマに挑戦するものであり、生物学の多くの分野に影響を与える可能性がある。 フィラデルフィアにあるトーマス・ジェファーソン大学の生化学・分子生物学准教授、Richard Pomerantz博士は、「この研究は、RNAのメッセージをDNAに変換するメカニズムを細胞内に持つことの意義を理解する上で、他の多くの研究への扉を開くものだ」と述べている。ヒトのポリメラーゼがこのようなことを高効率で行えるという現実は、多くの疑問を投げかける。例えば、今回の発見は、RNAメッセージがゲノムDNAを修復したり書き換えたりするためのテンプレートとして利用できることを示唆している。 この研究成果は、2021年6月11日、学術誌「Science Advances」のオンライン版に掲載された。このオープンアクセス論文は、「PolθはRNAを逆転写し、RNAによるDNA修復を促進する(Polθ Reverse Transcribes RNA and Promotes RNA-Templated DNA Repair )」と題されている。 Pomerantz博士のチームは、筆頭著者であるGurushankar Chandramo

Life Science News from Around the Globe

Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

バイオクイックニュースは、サイエンスライターとして30年以上の豊富な経験があるマイケルD. オニールによって発行されている独立系科学ニュースメディアです。世界中のバイオニュース(生命科学・医学研究の動向)をタイムリーにお届けします。バイオクイックニュースは、現在160カ国以上に読者がおり、2010年から6年連続で米国APEX Award for Publication Excellenceを受賞しました。
BioQuick is a trademark of Michael D. O'Neill

LinkedIn:Michael D. O'Neill