ヤスデは人類の救世主?その分泌物から神経疾患の新薬候補を発見
足がたくさんあることから「気味が悪い生き物」として敬遠されがちなヤスデ。しかし、もしこのヤスデの分泌物が、神経疾患や痛みの治療に役立つ新薬開発の鍵を握っているとしたら、少し見方が変わるかもしれません。この度、バージニア工科大学の研究者と国立がん研究所の共同研究者が、ヤスデの分泌物に含まれる、これまで知られていなかった複雑な構造を持つ新しい化合物を発見しました。この発見は、私たちの未来の医療に大きな光を当てる可能性があります。 化学者のエミリー・メヴァース博士(Emily Mevers, PhD)が率いる研究チームは、この新発見の化合物が、アリの脳に存在する特定の神経受容体を調節する機能を持つことを突き止めました。この化合物は、自然界に存在するアルカロイドと呼ばれる物質群に分類されます。研究チームは、この化合物を発見したヤスデの種類「Andrognathus corticarius」にちなんで、「アンドログナタノール」および「アンドログナチン」と名付けました。このヤスデは、バージニア工科大学のブラックスバーグキャンパス内にあるスタジアムウッズで発見されたものです。 これらの画期的な発見は、2025年7月17日付の Journal of the American Chemical Society(米国化学会誌)に掲載されたオープンアクセス論文、「The Discovery of Complex Heterocycles from Millipede Secretions(ヤスデの分泌物からの複雑な複素環式化合物の発見)」で詳述されています。 新しい化合物の発見 メヴァース博士は、創薬という目標を掲げ、これまであまり研究されてこなかった生態学的ニッチ、今回の場合はヤスデが持つ化学的性質の解明を専門としています。 メヴァース博士と研究チームは、スタジアムウッズの
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Edited by Michael D. O'Neill

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