遺伝性炎症疾患による臓器障害を止める治療薬が現れる
サイエンス出版部 発行書籍
関節リウマチの治療薬で知られるKineret(アナキンラ)が、新生児期発症多臓器性炎症性疾患(NOMID)による臓器障害の進行を止めるのに有効であることが、新たな研究で明らかになった。この稀な遺伝性疾患は、持続性炎症および進行性組織損傷を引き起こす。本研究はアメリカ国立衛生研究所の国立関節炎、骨格筋、皮膚疾患研究所(NIAMS)の研究チームによって行われた。NOMIDは皮膚、関節、眼、そして中枢神経系を含む多臓器に影響を及ぼす。 生後一週間以内に現れる発疹が、この疾患の一般的な初期兆候である。発熱、髄膜炎、関節炎、視覚および聴力損失、そして精神遅滞などの問題も従って現れる。生物製剤として知られる比較的新しい種類の薬のひとつであるKineretは、免疫系細胞によって生産されるタンパク質、インターロイキン1(IL-1)の活動をブロックする。NOMIDおよび特定の疾患においてはIL-1が過剰産生されるため、有害な炎症につながるのである。NIAMSの同グループにより行われた以前の研究では、IL-1をブロックすることでNOMIDによる症状を軽減することができると示された。 しかし、Kineretが長期的に有効であり、多めの投与によっては視覚および聴覚損失、また脳病変につながる損傷をコントロールすることが出来ると示したのは、本研究が初めてである。「何年にもわたる長期の炎症は、最終的に機能の不可逆的な損傷および損失の原因となります。」と、責任著者である NIAMSトランスレーショナル自己炎症性疾患部のラファエラ・ゴールドバッチマンスキー博士は語る。例えば、蝸牛( 内耳内の小さな構造)の炎症がNOMID患者の聴覚損失の原因であることが判明した。また視覚損失は、脳内での炎症系圧力による視神経の菲薄化が原因であることが判明したのである。「我々は内耳および脳、そして眼の炎症を効果的にブ
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