小児脳腫瘍に光明:ゲノミクスの真骨頂
サイエンス出版部 発行書籍
今後の小児がんの治療法を変えるであろう、劇的な遺伝的新事実を、カナダ、モントリオールのマギル大学ヘルスセンター研究所(RIMUHC)率いる国際研究チームが解明した。研究チームは、小児グリア芽細胞腫の約40%の原因である二つの遺伝子変異を同定した。小児グリア芽細胞腫は化学療法にも放射線療法にも非応答性である致命的な癌である。発見された変異はDNA調節に関与していることが分かり、そのために従来の治療が効果的で無かったのではないかと思われる。 他の癌治療にも多大な影響を与える可能性を持つ本研究は、2012年1月29日付けのネイチャー誌に記載された。また、同日のネイチャー・ジェネティックス誌に記載された別の研究チームの論文が、本研究と関連した知見を独自に発表している(バイオクイックニュース、“Histone Mutations Associated with Aggressive Childhood Brain Tumors:ヒストンの変異が悪性小児脳腫瘍に関与”参照)。 研究チームはマギル大学およびゲノム・ケベック開発センターの最新技術と知識を駆使し、ヒストンH3.3と呼ばれる重要な遺伝子で二つの変異を同定したのである。 我々の遺伝形質を保護するこの遺伝子は、遺伝子発現を調節する重要な役割を有する。「これらの変異により細胞の正常な分化は妨げられ、腫瘍の遺伝情報を保護する手助けをします。そのため、化学療法および放射線療法の影響を受けにくくなるのです。」と、本研究の主要研究員、MUHCモントリオール小児病院血液医および腫瘍医のナダ・ジャバド博士は語る。「本研究は、小児がんに対する従来の治療が無効であった理由を説明するのに役立ちます。我々は正しい場所に焦点を当てていなかったのです。小児グリア芽細胞腫は、成人のそれとは異なるメカニズムによって成るものであり、そのため同様に治療さ
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