ヒトY染色体が絶滅することはない

ヒトY染色体が絶滅することはない

サイエンス出版部 発行書籍

ヒト生物学を構成する原則が過去2500万年もの間、実質的に無変化のまま存在している。と、判明した場合、それはこれからも変わらないと自信をもって言えるだろう。ホワイトヘッド研究所の科学者たちが行った最新のヒトY染色体進化論の研究結果は、Y染色体が無くなる事はないと証明している。「Y染色体消滅論」の支持者たちは、Y染色体が将来絶滅するであろうと予測している。   Y染色体は過去3億年間に100以上の遺伝子を失っているため、このまま続けば必然的に全ての遺伝子が無くなるであろう、というのだ。ホワイトヘッド研究所所長、デイビッド・ペイジ博士と研究チームはこの10年間、着実に「Y染色体消滅論」を否定する研究を行ってきたが、周囲の認知効果は無に等しかった。「この10年間Y染色体について学界で合意されていた仮説は、いつかは消滅するものである、という論説です。この説をバックアップする確かな証拠が一度でも出たかどうかは別として、Y染色体消滅論はあっと言う間に広がり、定着してしまったのです。この消滅論については、わざわざ話題にあげる事が無いほどに浸透しており、我々のY染色体研究には逆風でもあったのです。」と、ペイジ博士は説明する。本研究結果のおかげでペイジ博士はY染色体消滅論支持者たちにチェックメイトをかけることが出来たのだ。 本研究チームは、アカゲザル(ヒトの進化経路から2500万年前に分岐した旧世界ザル)のY染色体をシーケンシングし、ヒトおよびチンパンジーのそれと比較し、驚愕する結果に至った。2012年2月22日付けのネイチャー誌オンライン版に記載された本研究結果は、進化分岐点からのアカゲザルとヒトのY染色体の顕著な遺伝的安定性を示している。この知見の重大性を理解するためには、歴史的コンテキストを知らなければならない。性染色体になる前のXおよびY染色体は、他の22対のような常染色体であ

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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