0.01mmの核に2mのDNA!ゲノム3D構造の秘密を解き明かす科学者の物語

0.01mmの核に2mのDNA!ゲノム3D構造の秘密を解き明かす科学者の物語

たった0.01ミリメートルの細胞核に、2メートルものDNAが詰め込まれている。この極小空間で、生命の設計図はどのように機能しているのでしょうか?この壮大な謎に、コンピューターシミュレーションとAIを駆使して挑む一人の科学者がいます。人間のすべての細胞の中には、直径わずか100分の1ミリメートルの核に、2メートルものDNAが詰め込まれています。この小さな空間に収まるために、ゲノムはDNAとタンパク質で構成される「クロマチン」と呼ばれる複雑な構造に折りたたまれなければなりません。 そして、このクロマチンの構造が、特定の細胞でどの遺伝子が発現するかを決定するのに役立っています。神経細胞、皮膚細胞、免疫細胞は、それぞれどの遺伝子が転写されやすい状態にあるかに応じて、異なる遺伝子を発現させるのです。 これらの構造を実験的に解読するのは時間がかかるプロセスであり、異なる種類の細胞で見られる3Dゲノム構造を比較することを困難にしています。MIT(マサチューセッツ工科大学)の教授であるビン・チャン博士(Bin Zhang, PhD)は、この課題に対して計算科学的アプローチを取り、コンピューターシミュレーションと生成AIを用いてこれらの構造を明らかにしようとしています。 「遺伝子発現の制御は3Dゲノム構造に依存しています。もし私たちがその構造を完全に理解できれば、この細胞の多様性がどこから来るのかを理解できるという希望があります」と、化学科の准教授であるチャン博士は語ります。 農場から研究室へ チャン博士が最初に化学に興味を持ったのは、4歳年上の兄が実験器具を買い、家で実験を始めたときでした。 「兄は試験管や試薬を家に持ち帰って実験をしていました。当時は何をしているのかよくわかりませんでしたが、反応から生まれる鮮やかな色や煙、匂いに本当に魅了されました。それが私の心を鷲

Life Science News from Around the Globe

Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

バイオクイックニュースは、サイエンスライターとして30年以上の豊富な経験があるマイケルD. オニールによって発行されている独立系科学ニュースメディアです。世界中のバイオニュース(生命科学・医学研究の動向)をタイムリーにお届けします。バイオクイックニュースは、現在160カ国以上に読者がおり、2010年から6年連続で米国APEX Award for Publication Excellenceを受賞しました。
BioQuick is a trademark of Michael D. O'Neill

LinkedIn:Michael D. O'Neill

 

【サイエンス雑誌シリーズ】Amazonストアにて好評販売中!