遺伝のルールを破る!オスでもメスでもズルをする「利己的X染色体」を発見

生物の遺伝は、両親から等しく受け継がれる公平なゲームだと考えられていませんか?しかし、自然界には抜け駆けをして、自分だけを優先的に子孫へ残そうとする、まるで「ズル賢い」遺伝子が存在します。この度、研究者たちは、オスとメスの両方において遺伝のルールを巧みに捻じ曲げる、前代未聞の「利己的な」X染色体を発見しました。この発見は、生命の設計図がどのように進化してきたのか、その常識を覆すかもしれません。 遺伝のルールを破る!オスとメスの両方で働く「利己的X染色体」 中には、決して公平に振る舞わない遺伝子が存在します。研究者たちは、ある種のショウジョウバエ(学名: Drosophila testacea)において、精子と卵子の両方で遺伝の法則を歪める「利己的な」X染色体を発見しました。 「研究者たちは、オスにおけるこのような利己的遺伝子を100年近く前から知っており、それらは遺伝子同士がいかに競合しうるかを示す教科書的な事例となってきました」と、ブリティッシュコロンビア大学(UBC)の博士課程の学生であり、学術誌*PNAS*に掲載された本研究の筆頭著者、グレアム・キース(Graeme Keais)さんは述べます。「しかし、これまで特定の遺伝子がオスかメスのどちらか一方で不正を働く例しか確認されていませんでした。両方で働く例は初めてです。」この研究は2025年4月23日に発表され、「A Selfish Supergene Causes Meiotic Drive Through Both Sexes In Drosophila(利己的なスーパー遺伝子がショウジョウバエの両性で減数分裂駆動を引き起こす)」と題されています。 染色体は、デオキシリボ核酸の形で生物の遺伝情報を運び、細胞分裂や生殖の際に親から子へと正確に設計図をコピーします。 細胞は減数分裂と呼ばれるプロセ
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Edited by Michael D. O'Neill
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