酵母細胞のタンパク質動態を初めて解明
サイエンス出版部 発行書籍
国際研究チームが、酵母ゲノムにコードされているタンパク質の細胞周期全体における動きをマッピングしました。初めて全てのタンパク質が細胞周期にわたって追跡され、これにはディープラーニングとハイスループット顕微鏡法の組み合わせが必要でした。研究チームはDeepLocとCycleNetという2つの畳み込みニューラルネットワークを適用し、数百万の生きた酵母細胞の画像を分析しました。その結果、タンパク質がどこに位置し、細胞周期の各段階でどのように動き、量が変化するかを特定した包括的なマップが作成されました。 「細胞内で定期的に増減するタンパク質は、細胞周期の調節に関与していることが多く、一方で細胞内を予測可能な動きをするタンパク質は、細胞周期の生物物理的実施を助ける傾向がある」と、研究の第一著者であり、トロント大学のドネリー細胞・バイオ分子研究センターの博士研究員であるアサナシオス・リツィオス(Athanasios Litsios)は述べています。この研究は、2024年3月14日にCell誌に掲載されました。公開アクセス記事のタイトルは「Proteome-Scale Movements and Compartment Connectivity During the Eukaryotic Cell Cycle(真核細胞周期におけるプロテオーム規模の動きと区画接続)」です。細胞周期とは、細胞が最終的に分裂して別々の細胞になるまでの段階を指します。この過程は生命の増殖の基盤であり、全ての生物において進行しています。 分子レベルでは、細胞周期は多くのタンパク質の協調によって成り立ち、細胞の成長とDNA複製から細胞分裂に至るまでを運ぶ役割を担っています。タンパク質の不規則な動きは細胞周期を混乱させ、その破壊は癌のような病気につながる可能性があります。研究者らは、マッピングされた酵母タンパ
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