クマムシの耐性タンパク質がヒト細胞保存の未来を切り開く
サイエンス出版部 発行書籍
クマムシは、乾燥、高放射線、極端な温度などの過酷な環境にも耐えうる微小な生物で、その驚異的な耐久性は長年にわたり科学者らの関心を引いてきました。ワイオミング大学のシルビア・サンチェス=マルティネス博士(Silvia Sanchez-Martinez, PhD)率いる最近の研究は、クマムシの卓越した耐久性の生物学的メカニズムが、人間の細胞保存やストレス管理に大きな可能性を秘めていることを明らかにしました。このオープンアクセス研究は、2024年3月19日付でProtein Scienceに掲載されました。 この研究は、細胞質豊富熱可溶性(CAHS: cytoplasmic abundant heat soluble)タンパク質として知られる特定のクラスのタンパク質に焦点を当てています。これらのタンパク質は、クマムシが環境ストレス、例えば脱水時に休眠状態(生体静止)に入ることを可能にする重要な役割を果たしています。この状態では、クマムシは代謝プロセスを効果的に停止し、通常なら致命的な環境条件を生き延びることができます。 研究チームは、CAHSタンパク質をヒト細胞に導入したところ、これらのタンパク質がゲル状の構造を形成し、細胞代謝を遅らせると同時にストレス耐性を高めることを確認しました。この研究の論文タイトルは、「Labile Assembly of a Tardigrade Protein Induces Biostasis(クマムシタンパク質の不安定な集合が生体静止を誘発する)」です。 CAHSタンパク質がヒト細胞において生体静止を誘発する能力は、一連の実験を通じて確認されました。これらの実験では、CAHSタンパク質の導入により、細胞の代謝活動が低下するだけでなく、温度変化や脱水といった外的ストレス因子に対する抵抗性も向上しました。この研究によると、これらのゲル状構造
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