胎盤の異常が赤ちゃんの心臓を左右する? SLC25A1欠損がもたらす影響とは

サイエンス出版部 発行書籍
先天性心疾患の発生要因に新たな知見 ー 胎盤の異常が心疾患を引き起こすメカニズムを解明 先天性心疾患は、ヒトにおいて最も一般的な先天的異常であるにもかかわらず、その発生要因は未だ完全には解明されておりません。過去の研究では、一部の心疾患が胎盤の異常によって引き起こされる可能性が示唆されていました。胎盤は、発生中の胚に酸素や栄養を供給する重要な器官です。しかし、胎盤の異常と先天性心疾患との具体的な関係については不明な点が多く残されていました。 このたび、中国・南京大学の研究者らは、この関連性を裏付ける重要な証拠を提示しました。研究チームは、先天性心疾患を持つ多くの患者において低下していることが報告されているタンパク質 SLC25A1 に着目しました。このタンパク質は、細胞内でクエン酸を輸送する役割を担っており、クエン酸の代謝産物が遺伝子の発現に影響を及ぼす可能性があります。しかし、SLC25A1が失われることで、どのようにして先天性心疾患が引き起こされるのか、そのメカニズムは不明でした。 本研究では、マウスの発生過程において SLC25A1 の機能を特定の組織で欠失させる実験 を行い、どの組織におけるSLC25A1の欠失が心疾患の発症に関与しているのかを解析しました。その結果、SLC25A1の喪失が直接心臓の形成に影響を与えるのではなく、胎盤の成長異常を引き起こし、その結果として心疾患が発生することが明らかになりました。この研究成果は、2024年11月26日付の科学雑誌『Development』に掲載されました。論文タイトルは 「SLC25A1 Regulates Placental Development to Ensure Embryonic Heart Morphogenesis(SLC25A1は胎盤の発生を制御し、胎児の心臓形態形成を確保する)」 です
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