再感染時の免疫応答が変異ウイルスに適応する仕組みとは? 最新研究が明かす二層防御システム

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免疫システムの新たな発見—再感染時に異なるB細胞が活躍する仕組みとは? インフルエンザなどの感染症は、常に進化を続け、免疫システムの監視を巧みにすり抜けながら何度も再感染を引き起こします。しかし、幸いなことに、一度感染した後の再感染では、最も重篤な症状に至ることは少なくなります。その理由は、私たちの免疫システムが B細胞 を訓練し、ウイルスを迅速に排除できるようになるためです。初感染時、免疫システムは 胚中心(germinal center) という特殊な組織内でB細胞を育成し、ウイルスを識別・攻撃する能力を獲得させます。 そして、その後もB細胞はスタンバイし、再感染時には「記憶抗体」を素早く生成します。長らく科学者たちは、この仕組みこそが感染症に対する防御の中心であると考えてきました。しかし、新たな研究により、再感染時に 「再活性化された胚中心(recall germinal centers)」 が、まったく異なる防御戦略を取ることが明らかになりました。 2024年7月9日付の学術誌 『Immunity』 に掲載された論文 「Opposing Effects of Pre-Existing Antibody and Memory T Cell Help on the Dynamics of Recall Germinal Centers(既存の抗体と記憶T細胞が再活性化胚中心の動態に与える相反する影響)」 によると、再感染時には既存のB細胞が即座に活動を開始する一方で、新たなB細胞が動員され、変異したウイルスに対する新しい抗体が作られることが明らかになったのです。 既存のB細胞と新規B細胞の二層システム—免疫記憶の進化的戦略 この研究は、ロックフェラー大学 の ガブリエル・ヴィクトラ博士(Gabriel Victora, PhD) の研究室に所属する大
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