オンチップ生合成したNK細胞由来エクソソームが、非小細胞肺癌に対して抗腫瘍活性を示す
ミシガン大学ローゲル癌センターとミシガン大学工学部の研究者らは、癌と戦うためのナチュラルキラー免疫細胞の配備という新たな治療法の開発の面で一歩進んでいる。この研究者らは、ナチュラルキラー細胞をキャプチャーし、それらに癌を殺す エクソソーム を放出させる最初の体系的な方法を開発した。 これらのナノスケールのエクソソームは、ナチュラルキラー(NK)細胞の数千分の1であるため、癌細胞の防御にうまく浸透することができるという。非小細胞肺癌の5人の患者からの血液サンプルでの概念実証研究は、アプローチがマイクロ流体チップ上のナチュラルキラー細胞をキャプチャーし、それらを使用してNKエクソソームを放出できることを示した。
2021年1月28日にAdvanced Scienceのオンラインで公開された調査結果によると、ミシガン大学のエンジニアと腫瘍学者を含む学際的なチームは、エクソソームが細胞培養で循環腫瘍細胞を効果的に殺すことができることをさらに実証した。 このオープンアクセスの論文は、「非小細胞肺癌における循環NK細胞由来エクソソームのオンチップ生合成は抗腫瘍活性を示す(On‐Chip Biogenesis of Circulating NK Cell‐Derived Exosomes in Non‐Small Cell Lung Cancer Exhibits Antitumoral Activity.)」と題されている。
「エキソソームは、タンパク質やその他の分子の小さな袋であり、体内のほぼすべての種類の細胞から自然に放出される。」と、ミシガン大学の化学工学研究員でこの研究の共同主執筆者のYoon-TaeKang博士は述べている。 「我々はNKエクソソームの理解を深め、それらの癌を殺す可能性を利用しようと考えた。」
NK細胞と比較して、NKエクソソームはより安定しており、治療目的で修飾するのが簡単だ、とKang 博士は述べた。 このシステムはまた、癌の診断と監視に役立つ可能性があると述べている。 NK細胞の力を利用することは、研究者にとって長い間興味をそそるものであった。
T細胞とは異なり、NK細胞は、侵入者を撃退するために侵入者特異的抗原によってプライミングされる必要はない。 「しかし、NK細胞ベースの治療法の大きなボトルネックの1つは、NK細胞を患者に注射した後、腫瘍の微小環境への浸透が苦手なことだ」と、化学工学の博士課程の学生である共同主執筆者のZeqi Niu氏は述べている。「NK細胞由来のエクソソームには同じ癌を殺す分子が含まれているが、それらエクソソームははるかに小さく、腫瘍に浸透しやすくなっている。」
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