CAR-Tでマクロファージを狙い撃ちする前臨床試験で、癌の増殖が抑えられることが判明。
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ニューヨーク・マウントサイナイのアイカーン医科大学の研究者によると、癌を直接攻撃するのではなく、ある種の免疫細胞を使って別の種類の癌を殺すという新しい癌免疫療法の前臨床疾患モデルにおいて、卵巣、肺、膵臓腫瘍を縮小する強固な抗腫瘍免疫反応を引き起こすことが明らかになった。この研究成果は、2022年10月11日のCancer Immunology Research誌に掲載された[doi.org/10.1158/2326-6066.CIR-21-1075]。この研究では、CAR-T細胞として知られる免疫細胞を用いた治療法に工夫が施されている。現在臨床で使用されているCAR-T細胞は、癌細胞を直接認識するように設計されており、いくつかの血液癌の治療に成功している。しかし、多くの固形癌への有効利用を阻む課題があった。 ほとんどの固形癌には、マクロファージと呼ばれる別の種類の免疫細胞が多く浸潤している。マクロファージは、腫瘍組織へのT細胞の侵入を阻害することで腫瘍の増殖を助け、CAR-T細胞や患者自身のT細胞が癌細胞を破壊するのを妨げている。 この免疫抑制を根本から解決するため、研究チームは、マクロファージの表面にある分子を認識する「キメラ抗原受容体」(CAR)を作るようにT細胞を設計した。このCAR-T細胞が腫瘍マクロファージに出会うと、CAR-T細胞は活性化され、腫瘍マクロファージを死滅させた。 このマクロファージ標的CAR-T細胞を卵巣、肺、膵臓の腫瘍を持つマウスに投与すると、腫瘍のマクロファージの数が減少し、腫瘍が縮小し、生存期間が延長された。 腫瘍マクロファージを殺したことで、マウス自身のT細胞が癌細胞にアクセスし、癌細胞を殺すことができるようになった。さらに研究者らは、この抗腫瘍免疫は、CAR-T細胞から炎症反応の制御に関与するインターフェロン-ガンマというサイトカ
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