新しい遺伝子編集戦略が、先天性免疫疾患の治療に繋がる可能性。

新しい遺伝子編集戦略が、先天性免疫疾患の治療に繋がる可能性。

サイエンス出版部 発行書籍

免疫システムの重要な部分を形成する細胞の欠陥が先駆的な遺伝子編集技術で修復できることが、ヒトの細胞やマウスを用いた新しい研究で明らかになった。ロンドン大学の研究者らは、2022年10月26日にScience Translational Medicine誌に掲載されたこの研究が、通常は制御性T細胞として知られる免疫系のコントロールを助ける白血球と、エフェクターT細胞として知られる反復感染や癌から体を守る細胞のまれな疾患に対する新しい治療法に繋がる可能性があるとしている。
この論文は「CTLA-4欠損を修正するためのT細胞の遺伝子治療(Therapeutic Gene Editing of T Cells to Correct CTLA-4 Insufficiency)」と題されている。

CTLA-4不全として知られるこの症状を持つ患者は、これらのT細胞が異常に機能する遺伝子変異を持つ。このため、免疫系が血液細胞を含む自分自身の組織や臓器を攻撃する、重度の自己免疫に苦しむことになる。
また、免疫系の記憶力が低下するため、同じウイルスや細菌に何度も感染すると、それを撃退するのに苦労することになる。また、血液癌の一種であるリンパ腫を発症するケースもある。

ヒトの細胞において、CRISPR/Casシステムを用いた“カット&ペースト”遺伝子編集技術により、CTLA-4機能不全の患者から採取したT細胞の欠陥遺伝子を標的として、その誤りを修復することができたと言う。これにより、細胞内のCTLA-4のレベルは、健康なT細胞で見られるレベルにまで回復した。また、CTLA-4機能不全のマウスに、遺伝子を編集した(修正した)T細胞を注射することで、病気の症状を改善することができた。

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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