免疫系が友好的な腸内細菌を許容する仕組みを解明。粘膜免疫の理解に新たな進展。
サイエンス出版部 発行書籍
3型自然リンパ球(ILC3)と呼ばれる免疫細胞が、ヒトの消化管に生息する共生微生物に対する耐性の確立に重要な役割を果たしていることが、ワイルコーネル・メディシンの研究者を中心とする研究により明らかになった。この発見は、炎症性腸疾患(IBD)、大腸癌、その他の慢性疾患に対するより良い治療法の鍵となる、腸の健康や粘膜免疫の重要な側面を明らかにするものだ。このNature誌の論文は「ILC3sは腸内の耐性を確立するためにマイクロバイオータ特異的制御T細胞を選択する(ILC3s select Microbiota-Specific Regulatory T Cells to Establish Tolerance in the Gut)」と題されている。 「本研究の一環として、我々は、消化管内の微生物叢に対する免疫寛容を促進する新たな経路を明らかにした。これは粘膜免疫の理解における基本的な進歩であり、IBDのような疾患において免疫系が微生物叢を不適切に攻撃し始めると、何がうまくいかなくなるのかを理解する鍵を握っているかもしれない。」と、筆頭著者のグレゴリー・F・ソネンバーグ医師(写真右)(消化器・肝臓部門の微生物学・免疫学准教授兼基礎研究部長、ジル・ロバーツ炎症性腸疾患研究所)は述べている。 哺乳類の腸内には、数兆個もの細菌や真菌などの微生物が共生していることが、科学者たちの間で古くから知られている。通常、免疫系がこれらの”有益な”腸内細菌を攻撃するのではなく、許容するメカニズムはよく分かっていない。しかし、IBDではこの耐性が崩れ、腸の炎症が有害に再燃するという証拠がある。このため、腸管免疫寛容を詳細に理解することで、米国だけでも数百万人が罹患しているクローン病や潰瘍性大腸炎を含むIBDの強力な新しい治療法を開発することが可能になると期待される。 ソネンバーグ研究室のポスド
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