HIV感染を防ぐ鍵?VNPが示す免疫メカニズムの新発見

サイエンス出版部 発行書籍
HIV/AIDS研究における新たな光明 12月は、世界的にHIV/AIDSへの意識を高める月として認識されており、この時期にはHIV感染の理解と治療法の進展に再び注目が集まります。HIV-1感染は通常、免疫機能の低下を伴い、抗レトロウイルス療法(ART: Antiretroviral Therapy)によるウイルス抑制が必要となる病態です。しかし、一部の極めて稀なHIV陽性者は、ARTを受けずとも高いウイルス量を維持しながらもCD4+ T細胞数を正常に保つことができ、このような個体は「ウイルス血症非進行者(VNP: Viremic Non-Progressors)」と呼ばれます。 この現象は数十年にわたり研究者らを魅了してきました。VNPの存在は、HIV感染の進行を防ぐ新しい治療戦略の手がかりとなる可能性があるためです。本研究は、2024年10月15日に学術誌『Med』に掲載された論文のタイトルは「Host Genetic and Immune Factors Drive Evasion of HIV-1 Pathogenesis in Viremic Non-Progressors(宿主の遺伝的要因と免疫因子がHIV-1病態を回避するメカニズム:ウイルス血症非進行者の研究)」において、統合的マルチオミクス解析を用いた画期的なアプローチにより、この稀なHIV-1フェノタイプの生物学的基盤を解明しました。 研究では、VNPの遺伝子、転写産物、代謝物、および免疫プロファイルを解析し、HIV感染による病態の回避メカニズムを明らかにしました。主な発見として、CCR5Δ32のヘテロ接合性(CCR5受容体の欠失変異)、免疫制御機構、腸管バリア機能、トリプトファン代謝が免疫バランスの維持に重要な役割を果たすことが示されました。 ウイルス血症非進行者(VNP)の特徴とは?
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