短くなったテロメアの修復を促すTERRA RNA
サイエンス出版部 発行書籍
Institute of Molecular Biology (IMB) と Johannes Gutenberg University Mainz (JGU) の研究チームが、染色体の末端を保護しているテロメアの秘密をさらに明らかにした。TERRAと呼ばれる種類のRNA分子が、極端に短くなり、壊れたりしたテロメアを、補修するように機能することを発見したのである。2017年6月29日付Cell誌に掲載された研究論文は、加齢やがんにおける細胞の老化や生存を調整する細胞内のプロセスへの理解をさらに深めている。 この論文は、「Telomere Length Determines TERRA and R-1 Loop Regulation Through the Cell Cycle (細胞周期を通じてテロメア長がTERRAとR-Loopの調整を規定)」と題されている。靴紐の両端のプラスチック・チューブが紐の撚りのほぐれるのを防いでいるように、テロメアも染色体の端末を保護している。ところが細胞の全寿命を通じてテロメアは細胞分裂のつど短くなり、末端保護も次第に効果が薄れていく。テロメアが短くなりすぎると、細胞はそれを遺伝物質が損なわれた信号と受け取り、それ以上分裂しなくなる。テロメアの短縮と細胞分裂減少は加齢の明確な特徴であり、加齢化の一因とも考えられている。同時に、テロメアの短縮はがんに対する防御機序とも考えられる。なぜなら、きわめて増殖力の強いがん細胞はテロメアが短くならなければ分裂する一方だからである。したがって、テロメアの短縮は両刃の剣であり、加齢とがん防止の間で微妙なバランスを取らなければならないのである。細胞の寿命が尽きる前に不用意な原因でテロメアが短くなった場合、テロメアを修復しないと細胞の老化が早まってしまう。JGU Institute for Develop
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