腰痛の根本治療へ?「ゾンビ細胞」を除去する新薬コンビをマウスで発見

多くの人々を悩ませる、つらい慢性腰痛。これまでの治療は、鎮痛剤で痛みを和らげる対症療法が中心でした。しかし、ついにその根本原因にアプローチする画期的な研究成果が報告されました。体内に居座り続ける「ゾンビ細胞」を除去することで、腰痛そのものを治療できる未来が来るかもしれません。マウスを使った研究で明らかになった、驚きの新戦略をご紹介します。マギル大学の研究者が主導した前臨床研究において、「ゾンビ細胞」を標的とする2つの薬剤が、慢性的な腰痛の根本原因を治療できることが示されました。この症状は世界中の何百万人もの人々に影響を与えています。現在の治療法は、鎮痛剤や手術によって症状を管理するものであり、根本原因に対処するものではありません。 「私たちの発見は、単に痛みを覆い隠すのではなく、問題を引き起こしている細胞そのものを取り除くことで、全く新しい方法で腰痛を治療できる可能性を示唆しており、非常にエキサイティングです」と、論文の上級著者であり、マギル大学外科の教授でモントリオール総合病院(MUHC)整形外科研究室の共同ディレクターを務めるリスベット・ハグランド教授(Lisbet Haglund)は述べています。この研究は、MUHCの一部であるモントリオール総合病院内マギル大学アラン・エドワーズ疼痛研究センターによって実施されました。この成果は、2025年3月14日発行の『Science Advances』誌に掲載され、論文タイトルは「Senolytic Treatment for Low Back Pain(腰痛に対する老化細胞除去療法)」です。 【編集者注】セノリティクスとは、老化細胞を選択的に死滅させ、人間の健康を改善する可能性のある低分子化合物です。 痛みを根本から治療する 老化細胞、通称「ゾンビ細胞」は、加齢や椎間板の損傷に伴い、脊椎の椎間板に蓄積しま
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