ALSの原因となるTDP-43タンパク質の凝集を防ぐメカニズムを解明

ALSの原因となるTDP-43タンパク質の凝集を防ぐメカニズムを解明

難病として知られる筋萎縮性側索硬化症(ALS)。その発症の引き金となる有害なタンパク質の凝集を、未然に防ぐ画期的な方法が発見されました。細胞内の「ロードサービス」と「修理工場」とも言える巧みな仕組みを利用したこのアプローチは、未来の治療薬開発に新たな光を灯すものとして期待されています。筋萎縮性側索硬化症(ALS: amyotrophic lateral sclerosis)(別名:ルー・ゲーリック病)は、毎年2,500件の新規症例が診断される、比較的稀ではあるものの非常に深刻な神経系の疾患です。現在のところ、完治は不可能です。ALSは、脳と脊髄にある随意筋の制御を担う運動ニューロンをゆっくりと破壊します。その結果、進行性の筋麻痺が生じ、多くの患者は車椅子での生活を余儀なくされます。病気が進行するにつれて、話すこと、飲み込むこと、呼吸することが次第に困難になります。 ALSでは、溶けにくいタンパク質の凝集体が運動ニューロンに蓄積します。これらの凝集体は、他のタンパク質に加えて、細胞のRNA代謝において様々な重要な役割を果たすTDP-43で構成されています。健康な細胞では、TDP-43は主に細胞核内で水溶性の形で存在しますが、ALS患者では、主に細胞核の外に蓄積する溶けにくい凝集体を形成します。これによりTDP-43はその機能を失い、最終的には運動ニューロンの死滅につながります。 この度、ドイツ連邦教育研究省の助成を受けるCluster4Future PROXIDRUGSの一環として、フランクフルト大学、マインツ大学、キール大学の研究者たちが、培養細胞内で有害なTDP-43凝集体の形成を防ぐ方法を発見しました。ゲーテ大学フランクフルト生化学第二研究所のクリスティーナ・ワグナー氏(Kristina Wagner)、ヤン・カイテン=シュミッツ博士(Dr. Jan Keite

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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