アルツハイマー病の新たな犯人?血液中のタンパク質との「悪魔合体」が脳を壊す

アルツハイマー病の原因としてよく知られる、脳に溜まるゴミ「アミロイドβプラーク」。科学者たちは長年、このゴミの蓄積が病気を引き起こすと考え、その除去を目指す薬の開発を進めてきました。しかし、決定的な治療法はまだ見つかっていません。一体なぜなのでしょうか?その答えの鍵は、脳の中だけではなく、「血液」との関係にあるのかもしれません。最新の研究が、脳のゴミであるアミロイドβと、血液中の主要なタンパク質が出会うとき、互いの毒性を何倍にも増幅させる「悪魔の合体」が起こることを突き止めました。この記事では、アルツハイマー病の新たな”犯人”の正体と、未来の治療法に光を当てる、画期的な発見について詳しく解説していきます。 脳と血管の接点に潜む病気の引き金 アルツハイマー病の脳には異常なプラークやタングル(神経原線維変化)がしばしば見られること、そして近年の研究では脳の血管系が病気の進行に果たす役割が強調されてきたことは、科学者たちに長年知られていました。しかし、この知識が完全に効果的な治療法につながることはありませんでした。この進展の欠如は主に、画期的な発見にもかかわらず、神経変性の正確な経路が依然として不明であるという事実に起因します。 しかし今、新たな研究が、アミロイドβ(Aβ)が主要な血液タンパク質であるフィブリノーゲンと結合すると、分解に抵抗性を持つ異常な血栓を形成することを示しました。これらの血栓は血管の損傷や炎症と関連しており、ごく少量のこの複合体でさえ、シナプスの喪失、神経炎症、血液脳関門の破壊といったアルツハイマー病の初期病態を引き起こすようです。この知見は、血管疾患が神経変性に寄与するという証拠を強化し、Aβとフィブリノーゲンの複合体という有望な新しい創薬ターゲットの形で、アルツハイマー病(AD)患者に希望をもたらします。 この研究は2025年5月8日にAl
Life Science News from Around the Globe
Edited by Michael D. O'Neill
バイオクイックニュースは、サイエンスライターとして30年以上の豊富な経験があるマイケルD. オニールによって発行されている独立系科学ニュースメディアです。世界中のバイオニュース(生命科学・医学研究の動向)をタイムリーにお届けします。バイオクイックニュースは、現在160カ国以上に読者がおり、2010年から6年連続で米国APEX Award for Publication Excellenceを受賞しました。
BioQuick is a trademark of Michael D. O'Neill