イボガインに代わる新たな治療法?研究者が特定した2つの化合物とは
サイエンス出版部 発行書籍
イボガインの治療効果を持ちながら毒性を持たない化合物を探していた研究者が、マウスのうつ病とオピオイドの離脱を緩和する2つの化合物を発見しました。イボガインは1960年代からオピオイド中毒の治療薬として注目されてきましたが、幻覚剤としての性質も持っています。イボガインの服用後、オピオイドを使用する意欲が低下するという報告もあり、限られた実験的な証拠が存在し、この関心が高まってきました。ただし、この薬には心臓疾患や死亡のリスクが伴います。そこで、イェール大学の研究者と共同研究者はマウスを用いた実験で、イボガインよりも生物学的標的性が高く、幻覚剤と同様にうつ病、不安、オピオイドの離脱症状を改善する2つの化合物を特定しました。 この研究成果は、今後の医薬品開発に役立ち、オピオイド中毒のより効果的な治療法につながる可能性があると、研究者は述べています。この研究は、2023年5月2日付の『Cell』誌に掲載されました。論文のタイトルは「セロトニントランスポーターの構造選択的阻害剤の構造に基づく発見(Structure-Based Discovery of Conformationally Selective Inhibitors of the Serotonin Transporter)」です。 イボガインは、イボガという植物(画像)から抽出される天然の幻覚剤であり、様々な標的タンパク質と結合する特性があります。この特性は、薬の副作用を増加させ、その効果のメカニズムを理解するのが困難であると科学者は述べています。 セロトニントランスポーターは、イボガインの標的の一つであり、抗うつ剤であるプロザック、セレクサ、パキシルなどが作用する場所でもあります。セロトニントランスポーターは脳の神経細胞の膜に存在するタンパク質であり、うつ病に関連する神経伝達物質であるセロトニンを、その作用を
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