多面型内用ナノ抗がん剤に新兵器
サイエンス出版部 発行書籍
各種の攻撃手段を備えてがん細胞に侵入し、がん細胞を内側から粉砕する独特なナノスケール抗がん剤にさらに新しい攻撃手段が加わった。免疫系を刺激し、HER2陽性乳がん細胞を攻撃させるタンパク質がそれである。ロサンジェルスのCedars-Sinai Medical Center, Department of Neurosurgery, Maxine Dunitz Neurosurgical Institute, Nanomedicine Research Centerの科学者が率いる研究チームが医薬を開発し、人間の乳がん細胞を植え付けたマウスで研究を行った。 2013年6月12日付Journal of Controlled Releaseオンライン版に掲載された研究論文で、「医薬を注入されたマウスは、何の処置もしていないマウスや医薬の特定成分のみを注入されたマウスよりもかなり長生きした」と述べている。また、UCLA, Division of Surgical Oncology, Cedars-Sinai, Samuel Oschin Comprehensive Cancer InstituteとUCLA, Molecular Biology Instituteの研究チームもこの研究に参加した。 外からがん細胞を攻撃する医薬はしばしば副作用として正常細胞を傷めるが、この研究では、医薬分子をがん細胞内に運ぶ運搬機能を持った「ナノプラットフォーム」に複数の医薬を化学結合させ、がん細胞内に送り込んだ。HER2陽性がんは、乳がん、卵巣がんの25%から30%を占めるが、HER2遺伝子の活動が亢進しており、がんの進行を促進するタンパク質を過剰に生成するため、他のタイプのがんに比べると、侵襲性が強く、また治療にも反応しにくい。もっとも一般的な抗がん剤の一つ、Herceptin (tras
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