ビール酵母が「創薬工場」に!大環状ペプチドの新薬開発を加速する新技術

ビール酵母が「創薬工場」に!大環状ペプチドの新薬開発を加速する新技術

パンやビール作りに欠かせない、あの小さな「酵母」。もし、この身近な微生物が、がんなどの難病を治療する未来の薬を生み出す「超小型工場」になるとしたら、どうでしょう?イタリアの研究チームが、まさにそんな夢のような技術を開発しました。数十億もの酵母を使って、新薬の候補をわずか数時間で見つけ出すこの画期的な方法は、創薬の世界に「グリーン革命」をもたらすかもしれません。 カ・フォスカリ大学ヴェネツィアの科学者たちは、日本、中国、スイス、イタリアの研究者と協力し、現代医療でますます利用されている大環状ペプチドという分子を大量に生産し、迅速に分析する革新的な方法を開発しました。2025年6月25日に『Nature Communications』誌で発表されたこの研究は、おなじみのビール酵母を活用し、これらの微小な生物をそれぞれが治療応用の可能性を秘めたユニークなペプチドを作り出すことができる、数十億もの小型蛍光工場に変えるものです。このオープンアクセスの論文タイトルは「Screening Macrocyclic Peptide Libraries by Yeast Display Allows Control of Selection Process and Affinity Ranking(酵母ディスプレイによる大環状ペプチドライブラリーのスクリーニングは選択プロセスと親和性ランキングの制御を可能にする)」です。 大環状ペプチドは、精密な標的化、安定性、安全性を兼ね備え、従来の医薬品よりも副作用が少ないことから、有望な医薬品とされています。しかし、これらのペプチドを発見し、試験するための従来の方法は、しばしば複雑で制御が難しく、時間がかかり、環境にも優しくありませんでした。 これらの限界を克服するため、研究者たちは一般的なビール酵母の細胞を操作し、個々に異なる大環状ペプチドを

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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