LC-MS/MSを用いて真菌のロイシノスタチンを発見
サイエンス出版部 発行書籍
Paecilomyces lilacinus (紫赤きょう病菌。写真) と呼ばれる真菌はロイシノスタチンという物質を生成する。この物質は、抗マラリア性、抗ウイルス性、抗がん性、植物毒性など様々な生物学的活動を引き起こすペプタイバイオティクスである。2014年9月3日付The Journal of Antibioticsオンライン版に掲載された研究論文で、ブラジルのUniversity of Sao PauloのDr. Ana MartinezとDr. Luiz Moraesが、LC-MS/MSを前駆イオンと生成イオンのモードで用いる分析方法を展開し、この真菌から5種類のロイシノスタチンを新しく発見した。 研究チームは、もっとも豊富に存在するロイシノスタチン (F、D、B2、S、A、K) を同定するため、Direct Infusion-MS (DI-MS) を用いた。 論文は、「自然生成物特にペプタイバイオティクスを対象にする場合、トリプル四重極MS/MS分析を様々なスキャン・モードで行うことにより、便利で多彩なツールになり得る。また、DI-MSフルスキャン分析は迅速で感度も高いが、ペプチドの異性体を区別できない、それに比べて、LC-MS/MSを前駆イオンと生成イオンの2つのモードで操作するのは時間のかかる作業だが、粗抽出物中の異性体や同重体の構造の判定が可能である」と述べている。■原著へのリンクは英語版をご覧ください: Fungal Leucinostatins Identified Using LC-MS/MS
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