核酸医薬のDDS技術に必要なDDSナノキャリア
サイエンス出版部 発行書籍
今まで話してきたように、核酸医薬はそのまま体内に投与しても、体内で分解され易く、更に細胞への導入効率が非常に悪く、殆どの場合効能を発揮できません。そこで、薬物の安定性を保ち、細胞に効率よく輸送するための運び屋が必要となります。この運び屋はウイルスベクターと非ウイルスベクターに大きく分類されます。 1990年後半に考えられたDDSはウイルスベクターを用い、ウイルスの感染力を利用して細胞に薬物を送達する方法でした。しかし、この方法はウイルス由来のタンパク質による免役応答、ウイルスゲノムが染色体に取り込まれることによる他の遺伝子への影響や、ウイルスの増殖や変異などの有害現象が多く報告されました。特に、遺伝子治療の際に多く起きています。1999年にペンシルバニア大学でアデノウィルスベクターによる遺伝子治療受けた際には、大量投与で死亡する事故が起きました。さらに、2002年にはフランスでレトロウイルスベクターを用いた遺伝子治療では、細胞の癌化や白血病の発症が確認されました。そのため、最近ウイルスベクターを利用する方法はあまり用いられていません。ただ、私は核酸医薬の分野では、感染症や一部の癌には有効ではないかと思うのでが、多少の発熱などの副作用も伴います。 そこで、最近注目を浴びているのは、非ウイルスベクター(DDSナノキャリア)です。DDSナノキャリアを用いた核酸医薬では、組織及び細胞特異的ターゲティング技術の開発以外に、細胞内動態制御技術の開発が必須となります(前回の図2の「薬物の細胞内取込み過程」を参照)。このDDSナノキャリアはウイルスサイズの大きさに様々な機能を集約することで、体内で異物として認識されにくくして、DDSナノキャリアに核酸医薬を閉じ込めてターゲット細胞に送達させる方法です。 薬物をターゲット部位に送達させるためには、DDSナノキャリアに複数の機能を盛り
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昭和48年3月 立命館大学理工学部卒業
昭和48年5月~
昭和56年4月 電気通信大学材料科学科、コロンビア大学化学部研究員
昭和56年6月 日本ロシュ株式会社研究所 入社
平成8年4月 日本ロシュ株式会社研究所天然物化学部、機器分析グループ長
平成16年10月 中外製薬株式会社研究本部化学部分析グループ長
平成21年4月 中外製薬株式会社 定年 シニア職
平成26年4月 中外製薬株式会社 退職
平成26年5月~現在 株式会社バイオシス・テクノロジーズ 取締役&チィーフ・テクニカル・オフサー(CTO)
平成27年4月~平成31年3月 聖マリアンナ医科大学分子病態情報研究講座講師
平成31年1月~現在 株式会社Spectro Decypher 取締役&チィーフ・テクニカル・オフサー(CTO)