アルツハイマー病を遅らせる「奇跡の遺伝子変異」、その仕組みを解明!

アルツハイマー病を遅らせる「奇跡の遺伝子変異」、その仕組みを解明!

アルツハイマー病という、未だ多くの謎に包まれた病気の進行を、劇的に遅らせることが知られている希少な遺伝子変異があります。なぜこの「クライストチャーチ変異」と呼ばれる特別な遺伝子を持つ人は、病魔から強く守られるのでしょうか?その驚くべきメカニズムの一端が、ワイル・コーネル医科大学の研究チームによる最新の研究で明らかになりました。鍵を握っていたのは、私たちの脳を守る「免疫細胞」と、その「炎症シグナル」を巧みにコントロールする力でした。この発見は、アルツハイマー病の新たな治療戦略への道を切り開くかもしれません。 本記事では、この画期的な研究の詳細と、将来の治療法への期待について詳しく解説します。 ワイル・コーネル医科大学の研究者らが主導した前臨床研究によると、アルツハイマー病の発症を遅らせる希少な遺伝子変異は、脳に存在する免疫細胞の炎症シグナルを抑制することによって、その効果を発揮することが明らかになりました。この発見は、脳の炎症がアルツハイマー病のような神経変性疾患の主要な原因であり、これらの疾患の重要な治療標的となりうるという証拠をさらに強固にするものです。 2025年6月23日に『Immunity』誌で発表されたこの研究で、研究者らは「クライストチャーチ変異」として知られるAPOE3-R136S変異の効果を検証しました。この変異は、遺伝性の早期発症型アルツハイマー病を遅らせることが最近発見されたものです。ワイル・コーネル医科大学の科学者たちは、この変異がcGAS-STING経路を阻害することを示しました。cGAS-STING経路は、アルツハイマー病や他の神経変性疾患で異常に活性化している自然免疫のシグナル伝達カスケードです。 研究者らは、薬剤のような阻害剤を用いてcGAS-STING経路を薬理学的にブロックすると、前臨床モデルにおいて、この変異が持つ重要な保

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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