自閉症と心臓病の意外な繋がりを発見!鍵は細胞の「繊毛」にあった
脳の発達障害である「自閉症」と、心臓の病気である「先天性心疾患」。一見すると全く関係ないように思えるこの二つの状態が、なぜか同じ子どもに併発することがあります。この長年の謎を解く鍵が、私たちの体のほぼすべての細胞に生えている、目に見えないほど小さな「毛」にあることがわかりました。カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の研究チームによるこの発見は、自閉症のリスクを早期に発見し、より適切な支援につなげるための、全く新しい道筋を示してくれるかもしれません。 自閉症スペクトラム障害は、世界の約100人に1人の子どもが罹患する複雑な神経発達障害です。早期に診断ができれば、発達を促し生活の質を向上させるためのタイムリーな介入が可能になります。科学者たちはこれまでに200以上の自閉症関連遺伝子を特定してきましたが、遺伝情報に基づいて自閉症の発症リスクを予測することは容易ではありません。 自閉症は、心臓の構造、成長、機能に影響を及ぼす先天性心疾患と併発することがあります。先天性心疾患は新生児期に容易に特定できるため、その診断は自閉症を発症するリスクが高い子どもをより早期に特定するのに役立つ可能性があります。科学者たちは、それぞれ脳と心臓の発達に影響を与えるこの二つの状態が、なぜ同時に起こるのかを解明しようと試みてきました。 この度、米国のカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)に所属するヘレン・ウィルゼー医学博士(Helen Willsey, MD)が率いる科学者チームは、ほぼすべての細胞の表面に見られる繊毛(cilia)と呼ばれる微細な毛のような構造が、自閉症と先天性心疾患の共通の生物学的基盤となっていることを発見しました。これにより、私たちは自閉症発症のリスクがある子どもたちの早期予測に一歩近づくことになります。この研究は、2025年6月24日付の学術雑誌
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Edited by Michael D. O'Neill

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