リトコール酸が老化を抑制:カロリー制限効果を再現する分子メカニズムを解明

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カロリー制限の恩恵を再現する「リトコール酸」の老化抑制メカニズムを解明 2024年12月18日付けの科学誌「Nature」に掲載された研究により、胆汁酸の一種であるリトコール酸(LCA)が、カロリー制限(CR)中に蓄積し、老化を抑制し寿命を延ばす独自の細胞経路を活性化する仕組みが明らかになりました。この研究「Lithocholic Acid Binds TULP3 to Activate Sirtuins and AMPK to Slow Down Ageing(リトコール酸がTULP3に結合し、サーチュインとAMPKを活性化して老化を抑制する)」では、LCAの代謝改善および老化関連疾患の抑制に向けた具体的な戦略が提示されています。 LCAによるTULP3–サーチュイン–AMPK軸の解明 研究チームは、LCAがサーチュイン酵素を活性化する仕組みを解明しました。LCAがTULP3(TUB様タンパク質3)に結合すると、サーチュインがアロステリックに活性化され、v-ATPase(液胞型H+-ATPアーゼ)のV1E1サブユニットのリジン残基(K52, K99, K191)が脱アセチル化されます。この脱アセチル化によりv-ATPaseが抑制され、AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)がリソソームのグルコース感知経路を介して活性化されるのです。 AMPKはエネルギー恒常性の中心的な調節因子であり、酸化ストレスの低減、ミトコンドリア機能の向上、炎症の抑制を通じて老化抑制効果を発揮します。特にLCAは、従来のAMPK活性化因子とは異なり、AMPやADPとATPの比率を変化させずに作用する点が特徴です。 さらに、研究はV1E1サブユニットの脱アセチル化状態を模倣する変異体(3KR)がAMPKを強力に活性化し、高齢マウスの筋肉機能を向上させることを示しました。この変異体
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