H5N1鳥インフルエンザの変異がヒト受容体への結合能力を強化

H5N1鳥インフルエンザの変異がヒト受容体への結合能力を強化

サイエンス出版部 発行書籍

新たな研究結果により、公衆衛生上のリスクをもたらすH5N1変異の継続的な監視の重要性が強調されています。 鳥インフルエンザウイルスは通常、人に適応し、感染を拡大するために複数の変異を必要とします。しかし、たった1つの変異がパンデミックウイルスとなるリスクを高めるとしたらどうでしょうか?スクリプス研究所(Scripps Research)の科学者らが主導した最近の研究によると、米国で乳牛に感染したH5N1「鳥インフルエンザ」ウイルスにおける単一の変異が、このウイルスのヒト細胞への付着能力を高める可能性があることが明らかになりました。 これにより、人から人への感染リスクが高まる可能性があります。本研究の結果は、2024年12月5日に『Science』誌に掲載されました。オープンアクセスの論文タイトルは「A Single Mutation in Bovine Influenza H5N1 Hemagglutinin Switches Specificity to Human Receptors(ウシインフルエンザH5N1のヘマグルチニンにおける単一変異がヒト受容体への特異性を変化させる)」です。この研究は、H5N1ウイルスの進化を監視する必要性を強調しています。 現在のところ、H5N1が人から人へ感染したことを示す証拠はありません。ヒトの鳥インフルエンザ感染例は、汚染された環境への密接な接触や、感染した鳥類(家禽を含む)、乳牛、その他の動物との接触に関連しています。しかし、公衆衛生当局は、このウイルスが進化し、人から人への効率的な感染を可能にする可能性を懸念しています。もしそうなれば、新たな、そして潜在的に致死的なパンデミックが引き起こされる恐れがあります。 インフルエンザウイルスは、宿主に付着する際に「ヘマグルチニン(hemagglutinin)」と呼ばれるタンパク

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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