長年の課題を克服:ミトコンドリアゲノム解析の画期的ツール

長年の課題を克服:ミトコンドリアゲノム解析の画期的ツール

サイエンス出版部 発行書籍

ミトコンドリアゲノムの疾患原因となる変異を特定する革新的ツール:イェール大学主導の新研究 イェール大学の遺伝学研究者が、ミトコンドリアゲノムのどの変異が疾患を引き起こすのかを特定するための待望のツールを開発しました。この画期的なフレームワークは、2024年10月16日にNature誌に掲載された論文「Quantifying Constraint in the Human Mitochondrial Genome」で報告されました。この新しいツールにより、ミトコンドリアDNA(mtDNA)内で健康と疾患において重要な部位をマッピングすることが可能になりました。 ミトコンドリアゲノムの重要性と従来の課題 ミトコンドリアは細胞内でエネルギーを生み出す「発電所」として知られる細胞構造で、母親から受け継がれるDNAを含みます。このミトコンドリアDNAは、細胞の生存やアポトーシス(プログラムされた細胞死)を決定する重要な役割を担います。しかし、その小さなゲノムサイズや特有の特徴により、疾患原因変異を特定するツールの開発が困難でした。 従来、核ゲノムでは「制約モデリング」という方法を使って選択圧の影響を分析し、疾患関連の変異を特定してきましたが、この方法はミトコンドリアゲノムでは効果を発揮しませんでした。今回の研究では、イェール大学のニコール・レイク博士(Nicole Lake, PhD)とモンコル・レック博士(Monkol Lek, PhD)が、新しい方法論を採用し、これまでにないレベルでmtDNA変異を特定するモデルを開発しました。 新たな制約モデルの概要と成果 レイク博士とレック博士が率いる研究チームは、まず新しい「ミトコンドリア変異モデル」を構築。このモデルでは「複合尤度(composite likelihood)」の手法を用い、突然変異がゲノム内のどの場所で発生

Life Science News from Around the Globe

Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

バイオクイックニュースは、サイエンスライターとして30年以上の豊富な経験があるマイケルD. オニールによって発行されている独立系科学ニュースメディアです。世界中のバイオニュース(生命科学・医学研究の動向)をタイムリーにお届けします。バイオクイックニュースは、現在160カ国以上に読者がおり、2010年から6年連続で米国APEX Award for Publication Excellenceを受賞しました。
BioQuick is a trademark of Michael D. O'Neill

LinkedIn:Michael D. O'Neill