3Dゲノムの謎を解く新技術「ChAIR」登場!単一細胞で遺伝子の指揮者を捉える

3Dゲノムの謎を解く新技術「ChAIR」登場!単一細胞で遺伝子の指揮者を捉える

私たちの体の設計図であるゲノムは、どのようにして個々の細胞内で遺伝子のスイッチを正確なタイミングでON/OFFしているのでしょうか?まるでオーケストラの指揮者のように。この生命の根源的な謎に、画期的な答えを示す研究が登場しました。たった一つの細胞の中から、ゲノムの「立体構造」と「遺伝子の働き」を同時に覗き見る新技術が、これまで見えなかった遺伝子活性化のメカニズムを明らかにしたのです。 中国の浙江大学に所属するイージュン・ルアン博士(Yijun Ruan, PhD)らの研究チームは、2025年4月29日付の『Nature Methods』誌で、この画期的な研究成果を発表しました。論文タイトルは「Tri-omic single-cell mapping of the 3D epigenome and transcriptome in whole mouse brains throughout the lifespan(生涯にわたるマウス全脳における3Dエピゲノムとトランスクリプトームのトリオミック・シングルセルマッピング)」です。この論文で紹介されたChAIRという強力なトリオミック技術は、個々の細胞内でクロマチンアクセシビリティ(DNAへのアクセスのしやすさ)、3Dゲノム相互作用、遺伝子発現を同時にプロファイリングします。このプラットフォームは、統合的なゲノム解析における長年の課題を解決するだけでなく、クロマチンループ形成がプロモーターのアクセシビリティを引き起こし、それが遺伝子転写を駆動するという、段階的でダイナミックな連鎖を明らかにしました。これにより、3Dゲノム構造と遺伝子活性の間に因果関係があることが確立されたのです。関連する解説記事も、2025年5月8日付の同誌に「「Coupling the 3D Epigenome to the Transcriptome

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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