エクソソームから放出される分子NGFRがメラノーマの転移の初期段階を誘導することを発見

「腫瘍の内側だけでなく、外側も見なければならない」と、スペイン国立癌研究センター(CNIO)のHéctor Peinado研究員(写真)は語った。腫瘍がどのように環境を操作して前進するのか、Peinado博士が長年答えを出そうとしている大きな疑問の一つである。何十年もの間、腫瘍と戦うために、研究者は腫瘍の本質的な行動を研究することに重点を置いてきたが、腫瘍を取り巻く環境については研究してこなかった。Peinado博士は、CNIOの微小環境・転移グループのリーダーで、腫瘍から放出されるエクソソームと呼ばれるナノ粒子が、どのように腫瘍の微小環境を操作して転移を促進させるかなど、転移進行に関わるメカニズムについて研究している。
2021年11月25日にNature Cancer誌にオンライン掲載された論文では、メラノーマの進行に重要なこのプロセスがどのように起こるかが説明されている。エクソソームは、最初に転移が起こるリンパ節であるセンチネルリンパ節に移動し、そこから転移に適した環境(pre-metastatic niche)を遠隔的に準備するのだ。
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