くしゃみと咳の独立した神経経路を発見!呼吸器疾患治療に新たな道

くしゃみと咳の独立した神経経路を発見!呼吸器疾患治療に新たな道

サイエンス出版部 発行書籍

くしゃみと咳の神経回路を解明:ワシントン大学医学部の研究が呼吸器治療の未来を切り拓く ワシントン大学医学部セントルイス校の研究者らは、呼吸器疾患治療に革命をもたらす可能性のある画期的な発見を発表しました。同校の研究によれば、通常一緒に起こると考えられていた「くしゃみ」と「咳」の反射が、全く異なる神経経路によって制御されていることが明らかになりました。この発見は2024年9月6日付のオープンアクセスジャーナルCellに掲載され、「Divergent Sensory Pathways of Sneezing and Coughing(くしゃみと咳の異なる感覚経路)」というタイトルで発表されました。 研究を主導したのは秦柳博士(Qin Liu, PhD)です。彼女らの研究チームは、くしゃみを引き起こす神経細胞「MrgprC11+」と、咳を制御する「SST+」神経細胞という2種類の感覚ニューロンを特定しました。この発見は、くしゃみと咳が同じ感覚経路を共有しているという従来の考え方を根本から覆し、新たな医療研究や治療法の道を開くものです。 発見の影響 くしゃみや咳は、鼻や肺から異物や病原体を排出する重要な防御反射です。しかし、これらが慢性的または過剰に発生すると、不快感や睡眠障害、身体的負担を引き起こす可能性があります。現在の治療法では、抗ヒスタミン剤や咳止め薬などの幅広いアプローチが一般的ですが、これらはくしゃみや咳の原因となる特定のニューロンをターゲットにしていないため、副作用が生じることがあります。 今回の研究で明らかになった個別の神経経路を活用することで、より安全かつ効果的な治療法の開発が期待されています。例えば、MrgprC11+ニューロンを抑制する薬は、他の身体機能に影響を与えることなくくしゃみを止める可能性があります。一方で、SST+ニューロンを標的にした

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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