免疫の「誤爆」を止める?ArfGAP2タンパク質が自己免疫疾患治療の新たな希望に

免疫の「誤爆」を止める?ArfGAP2タンパク質が自己免疫疾患治療の新たな希望に

サイエンス出版部 発行書籍

自分を守るはずの免疫システムが、誤って自身の体を攻撃してしまう自己免疫疾患。米国だけでも1500万人以上が罹患していると推定され、多くの人々を苦しめています。これまで、免疫システムが「誤報」を発するきっかけは分かっていましたが、実際に攻撃部隊を「出動」させてしまう詳細なメカニズムは謎に包まれていました。しかしこのほど、その謎を解き明かすかもしれない重要なタンパク質が発見されました。この発見は、新たな治療法開発への大きな一歩となるかもしれません。ワシントン大学医学部とペンシルベニア大学ペレルマン医学部の科学者たちが共同研究者らと共に、免疫活動、そして過剰な免疫活動を引き起こす鍵となる構成要素を特定しました。 研究チームは、細胞内で感染と戦う分子の放出を促進するタンパク質を同定しました。このタンパク質は、これまで免疫系における役割が疑われていなかったもので、数々の深刻な消耗性疾患の根底にある過剰な免疫応答を防ぐ治療法の潜在的な標的となります。彼らの論文は、2025年2月12日に『Cell』誌のオンライン版に掲載されました。論文のタイトルは「ArfGAP2 Promotes STING Proton Channel Activity, Cytokine Transit, and Autoinflammation(ArfGAP2はSTINGプロトンチャネル活性、サイトカイン輸送、および自己炎症を促進する)」です。 この研究チームは、ペンシルベニア大学コルター自己免疫センターのメンバーであり、リウマチ学・微生物学の准教授であるジョナサン・マイナー医学博士(Jonathan Miner, MD, PhD)と、ワシントン大学医学部細胞生物学・生理学部門の助教であるデイビッド・カスト博士(David Kast, PhD)が共同で率いており、SAVI(STING-associated

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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