緑茶に含まれる分子を用いて、アルツハイマー病を引き起こす脳内のタウ繊維を分解するリードを特定。
UCLAの科学者らは、緑茶に含まれるある分子を用いて、アルツハイマー病や同様の疾患を引き起こすと考えられている脳内のタンパク質の絡まりを解消する可能性のある分子を特定した。緑茶の分子であるEGCG(エピガロカテキンガレート)は、タウ繊維(神経細胞を攻撃して死に至らしめる絡まりを形成する長く多層なフィラメント)を分解することが知られている。2022年9月16日にNature Communicationsに掲載された論文の中で、UCLAの生化学者らは、EGCGがタウ繊維を1層ずつへし折る方法を説明している。また、脳内に浸透しにくいEGCGよりも、同じ働きをする可能性が高い他の分子を発見し、薬剤の候補とする方法も示している。この発見は、タウ繊維やその他のアミロイド線維の構造を標的とした薬剤の開発により、アルツハイマー病やパーキンソン病、その他の関連疾患と闘うための新しい可能性を開くものだ。このオープンアクセス論文は「アルツハイマー病組織由来のタウ線維を体外で分解する低分子の構造的発見(Structure-Based Discovery of Small Molecules That Disaggregate Alzheimer's Disease Tissue Derived Tau Fibrils in Vitro)」と題されている。
タウ分子が結合した何千ものJ字型の層が、アミロイド線維の一種である「もつれ」を形成していることが、100年前にアロイス・アルツハイマーによって認知症患者の死後脳で初めて観察された。この線維は成長して脳全体に広がり、神経細胞を死滅させ、脳の萎縮を引き起こす。多くの科学者は、タウ繊維を除去または破壊することで、認知症の進行を止めることができると考えている。
「この繊維を断ち切ることができれば、神経細胞の死滅を食い止めることができるかもしれない。製薬業界は、脳に侵入するのが困難な大きな抗体を主に使用していたため、一般的にこれを行うことに失敗している。20 年以上前から、緑茶に含まれる EGCG と呼ばれる分子がアミロイド線維を分解できることが科学者によって知られていた。」と、UCLA化学・生化学教授のデビッド・アイゼンバーグ博士は述べている。
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