世界初!たった一人の赤ちゃんを救う「オーダーメイド遺伝子治療」が成功

世界初!たった一人の赤ちゃんを救う「オーダーメイド遺伝子治療」が成功

「私たちが何十年も聞いてきた遺伝子治療の約束が実を結びつつあり、医療へのアプローチを根底から変えるでしょう。」そんな医療の未来を象徴する、歴史的な出来事が起こりました。たった一人の赤ちゃんを救うためだけに作られた、世界初のオーダーメイド遺伝子治療が成功したのです。難病と共に生まれた赤ちゃんの運命を変えたこの画期的な治療は、治療法がなかった数多くの希少疾患に苦しむ人々に、新たな希望の光を灯すかもしれません。 この医学的な大躍進を成し遂げたのは、フィラデルフィア小児病院(CHOP)とペンシルベニア大学医学部のチームです。患者である乳児のKJちゃんは、重度のカルバモイルリン酸シンターゼ1欠損症という稀な遺伝性代謝疾患と診断されました。生後数ヶ月間を病院で非常に厳しい食事制限のもとで過ごした後、KJちゃんは2025年2月、生後6〜7ヶ月の時に、彼のためだけに作られた治療薬の初回投与を受けました。治療は安全に実施され、現在、彼は順調に成長しています。 この症例は、2025年5月15日に『The New England Journal of Medicine』誌に掲載された研究で詳述され、ニューオーリンズで開催された米国遺伝子細胞治療学会の年次総会で発表されました。この画期的な発見は、治療法のない希少疾患を持つ個々人を治療するために、遺伝子編集技術を応用する道筋を示す可能性があります。 「長年の遺伝子編集技術の進歩と、研究者と臨床医の協力がこの瞬間を可能にしました。KJちゃんはまだ一人目の患者ですが、個々の患者のニーズに合わせて規模を調整できるこの方法論の恩恵を受ける、多くの患者の第一号となることを願っています」と、CHOPの遺伝性代謝疾患フロンティアプログラム(GTIMD: Gene Therapy for Inherited Metabolic Disorders

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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