ゲノムの"暗黒領域"を解読!ヒトの多様性と疾患の謎に迫る最新研究

ゲノムの"暗黒領域"を解読!ヒトの多様性と疾患の謎に迫る最新研究

私たちの生命の設計図「ヒトゲノム」。その中でも特に解読が困難で、長らく謎に包まれてきた領域があります。しかし今、国際的な科学者チームが最新技術を駆使し、この"暗黒領域"の解読に成功しました。この発見は、ヒト生物学の常識を覆し、病気の原因解明や「プレシジョン・メディシン」を新たな次元へと導く画期的な一歩となります。この記事では、ゲノムの謎に挑んだ研究の最前線に迫ります。 国際的な科学者チームが、多様な祖先を持つ65人の完全なゲノム配列を用いて、これまで解読が最も困難だったヒトゲノム領域のいくつかを解読しました。ジャクソン研究所(JAX)が共同で主導し、2025年7月23日に科学雑誌『Nature』オンライン版で発表されたこの研究は、消化や免疫反応から筋肉の制御に至るまで、あらゆるものに影響を与える隠れたDNAのバリエーションを明らかにしました。これは、特定の疾患が一部の集団でより深刻な影響を及ぼす理由を説明できる可能性があります。このオープンアクセス論文のタイトルは、「Complex Genetic Variation in Nearly Complete Human Genomes(ほぼ完全なヒトゲノムにおける複雑な遺伝的多様性)」です。 このマイルストーンは、ゲノム科学の分野を再構築した2つの基礎研究に基づいています。2022年、研究者たちは史上初となる単一のヒトゲノムの完全な配列解読を達成し、オリジナルのヒトゲノム計画で残された主要なギャップを埋めました。2023年には、科学者たちは47人の個人から構築されたパンゲノムのドラフト版を公開しました。これは、世界の遺伝的多様性を表現するための重要な一歩でした。今回の新しい研究は、これらの両方の取り組みを大幅に拡張し、残っていたデータギャップの92%を埋め、これまでにない広さと解像度で様々な祖先にわたるゲノムのバリエー

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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