マラリア撲滅へ新戦略!CRISPRで蚊の分子を1つ変えるだけで感染をブロック
毎年、他のどの動物よりも多くの人々の命を奪っている蚊。その蚊が媒介するマラリアとの闘いは、殺虫剤や治療薬への耐性が広がることで、近年ますます困難を極めています。しかし、この絶望的な状況を打破するかもしれない画期的な技術が開発されました。たった1つの分子を入れ替えるだけで、蚊を「マラリアを運べない体」に変えることができるというのです。 カリフォルニア大学サンディエゴ校、ジョンズ・ホプキンス大学、カリフォルニア大学バークレー校、そしてサンパウロ大学の研究者たちが、蚊によるマラリアの伝播を遺伝的にブロックする新しい手法を開発しました。蚊は依然としてマラリア患者を刺して血液中から原虫を体内に取り込みますが、その原虫を他の人に広めることはできなくなります。この新しいシステムは、マラリアへの耐性を持つ形質を蚊の集団全体に遺伝的に広げ、最終的にその地域の蚊が病気を媒介しなくなるように設計されています。 この画期的な研究は、カリフォルニア大学サンディエゴ校の生物学者であるジーチエン・リー氏(Zhiqian Li)とイーサン・ビア教授(Ethan Bier)、そしてジョンズ・ホプキンス大学のユエメイ・ドン氏(Yuemei Dong)とジョージ・ディモプロス教授(George Dimopoulos)によって主導されました。彼らは、CRISPRをベースとした遺伝子編集システムを構築し、蚊の体内にあるたった1つの分子を変化させることで、マラリア原虫の伝播プロセスを阻止することに成功しました。 「蚊のたった1つのアミノ酸を、マラリア原虫に感染しなくなる別の自然な変異体に置き換え、その有益な形質を蚊の集団全体に広げることは、まさにゲームチェンジャーです」と、カリフォルニア大学サンディエゴ校 生物科学部 細胞・発生生物学部門のビア教授は語ります。「この、たった1つの小さな変化が、これほど劇的な
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Edited by Michael D. O'Neill

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